「バイオフィリックデザイン」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

バイオフィリックデザインとは、建築やインテリアの中で自然を感じられる環境に整える、今注目の空間デザインの手法のことです。

今回私たちは、自分たちのオフィスにこのバイオフィリックデザインを取り入れてみました。2018年に大幅リニューアルを行ったパールマネキンの本社オフィスを例に、具体的内容とその効果をみていきたいと思います 。

(Amazonのオフィスやスターバックスなど、今話題のバイオフィリックデザインの空間をもっと見てみたい方は、国内外の事例を集めた記事もぜひご覧ください)


『バイオフィリックデザイン』とは?

バイオフィリックデザインのそもそもの由来は、バイオフィリア仮説です。バイオフィリア仮説とは『人間や動物は自然を先天的に好む性質をもっているのではないか』というもので、スティーヴン・ケラートとエドワード・ウィルソンらによって1980年代に提唱されました。

引用元:
・Stephen R. Kellert, Edward O. Wilson, The Biophilia Hypothesis. Island Press, 1995
・Edward O. Wilson, Biophilia. Cambridge: Harvard University Press, 1984

バイオフィリックデザインとは、人間は自然を好み、自然とつながりたい本能的欲求があるという考え方に基づいたデザインのことです。バイオフィリックという言葉は、バイオ(自然・生き物)+フィリア(愛好)を掛け合わせたバイオフィリアという造語が由来です。

建築家やデザイナーの間でもとても関心が集まっており、最近ではスターバックス コーヒージャパン株式会社が、国内初となるバイオフィリックデザインを取り入れた「スターバックス コーヒー 表参道ヒルズ」をオープンし、話題を集めました。


『バイオフィリックデザイン』を取り入れるメリット

バイオフィリックデザインを働く環境に取り入れることで、様々なメリットを享受できることが分かっています。

空間デザインに関する調査を行う、米Interface社のHuman Space Reportによると、職場で自然と接する機会がある人は機会がない人に比べ、 創造性が 15% 、生産性が 6%、幸福度が 15%増加したという結果が得られたそうです。

引用元:米Interface社のHuman Space Reportより

Those who work in environments with natural elements report a 15% higher level of well-being, a 6% higher level of productivity and a 15% higher level of creativity than those who work in environments devoid of nature.

http://interfaceinc.scene7.com/is/content/InterfaceInc/Interface/AsiaPac/WebsiteContentAssets/Documents/Press%20Releases/Human%20Spaces%20Report/wc%5Fap%2Dprhumanspacesglobalsummary.pdf

人が本能的に求める”自然”を空間に再現することで、従業員の満足度も上がり、結果生産性も上がるという好循環が生まれます。

『バイオフィリックデザイン』を取り入れたオフィス事例

では、具体的にバイオフィリックデザインを取り入れたオフィスを、弊社の改修事例を元にご紹介します。

わたしたちの本社オフィスは、移りゆくトレンドの少し先を見据え、エッジのきいた今そのものを切り取って表現する弊社のオリジナルブランド「ima」を冠して「IMA OFFICE(イマ・オフィス)」と名付けられています。

まるで自然の中にいるような癒し空間を実現。リアルとフェイクのグリーンをミックスして利用しており、メンテナンスは必要ですが、それほど違いを気にせず日々過ごせています。リアルグリーンについては、植物にとって必要な光と水をどう確保するかが問題です。今回試験的に、日光に近い光を照射できるLEDをつかって、植育をテストしたりもしています。

ワークスペースにとってなにより大切なのは、集中でき、かつ効率よく仕事ができること。今回、多角形の新作オフィステーブルの導入によって、連携しやすさも確保しながら、視線をずらすなど、個々のパーソナル空間を確保したレイアウトが組めるようになっています。

新作の「植育スタンドポットテーブル」。気軽に人が集まりやすい設計の丸テーブルです。同時に、自動タイマーで日光に近い光を照射でき、植物を育てられる優れもの。

ミーティングコーナーを随所に配置し、つながりをさらに強めるデザイン設計をしました。2人用のミーティングブースは、ちょっとした打ち合わせに最適で、程よく囲まれた空間と距離間で話せるので、会話も弾みます。

4人用の密室感のあるミーティングスペース。少し籠(こも)り感のある空間で、より深いミーティングができて、相手との心の距離も縮めてくれます。オフィス内の「つながり」をよりフラットでボーダレスにすることが、組織としての生産性向上につながります。

水のアクアリウムと、土のテラリウム、このふたつが合わさったアクアテラリウム。これはひとつの空間で、地球を表現しています。オフィスに水槽を置いている会社は、なかなか無いのではないでしょうか。ほっとひと息つきにいく、癒しスポットになっています。

守秘書類の取り扱いが多い役員やマネジメント層向けには、個別のスペースを用意。こだわりの木テーブルと、グリーンに囲まれた環境は、集中力が高まると同時に、オフィス全体も見渡せて部下とも気軽にコミュニケーションをとることができます。

籠(こも)り部屋。一人で集中したいときは、この部屋でアイデアを練る。電話の声なども軽減され、自分だけの空間で没頭できます。

仕事に集中できる環境はとても大切ですが、一方で人間の集中力には限りがあると言われるように、息抜きをする時間を設けてメリハリをつけることが、創造的な仕事につながります。今回オフィスに様々な工夫を凝らし、ディスプレイ企業ならではの視点でオフィスを遊んでいます。

カタログや雑誌が収納されたライブラリーコーナー。

癒されるアロマの香りと、まるで自然の中にいるかのような川のせせらぎや鳥の声。五感で感じるオフィスです。また、プリンターやごみ箱の場所を一か所に集めることで、すっきりしたオフィス空間を実現できました。

少し多めがちょうどいい!? バイオフィリックデザインがもたらした社内の変化

バイオフィリックデザインをオフィスに取り入れたことで、少しずつ社内に変化が表れました。

まず第一に、働く社員の笑顔が増えたことです。グリーンという目に優しい視覚的な効果もあり、集中して疲れた時にふと顔を上げて緑を眺めるとリラックスできたりと、仕事にメリハリもつけやすくなりました。また、以前よりも会話が弾んだ気がしますし、コミュニケーションも増えました。

そしてもう一つは、お客様やリクルート含めた、会社の外からの見え方の違いです。多くのご訪問いただけるお客様からはご好評の声をいただきます。実際にバイオフィリックなオフィスを体験していただくことで、その効果を実感いただけたのだと思います。

人が適度に集中でき、リラックスできる適切なグリーンの量は、10~15%程度だと言われています(この値は緑視率と呼ばれています)。

一方私たちは、ディスプレイ企業としての強みを活かして、グリーンの装飾に特に力を入れ、この値よりも少し多めに30%ほど使用しました。アンケートをとってみると、少し多いとは感じつつも、ちょうど良いという回答が半数以上でした。量が多いことにストレスはあまり感じないようです。緑が嫌いな人はあまりいない!

このように、人と自然が調和を図ったデザインを取り入れることで、多くのメリットを享受できました。


ワークプレイス(働く環境)が変われば、ワークスタイル(働き方)も変わる

働き方改革が叫ばれる昨今、各企業が残業削減や生産性向上を目指し、また従業員にとって快適な職場環境を整えることに関心が集まっています。

私たちパールマネキンも、今の時代に求められる働き方とはどのようなワークスタイルであり、どのような空間が人にとって望ましいのかを考え続けています。そのソリューションのひとつが、今回実施したバイオフィリックデザインを取り入れたオフィスでした。

私たちがオフィスで過ごす時間は、人生の大半を占めています。たくさんの時間を過ごす場所だからこそ、その空間にこだわる。他のオフィスと比べると、ディスプレイや演出的な飾りの要素が多いのが私たちの特徴です。

例えば、皆さんのオフィスにも、部分的にでも観葉植物やフェイクグリーンを置いてみるだけで、その効果が感じられるかもしれません。また、そう言った直接的なモノだけでなく、間接的に自然を感じさせられる自然模様のグラフィック・材質・色彩のテーブルやイスを置いてみたり、音・香りを試してみるだけでも効果が得られるかもしれませんね!