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VMDには行動心理学や人間工学が関係している?『ショップサイエンス』を活用して”売れる”お店をつくろう!

『あのお店に何度も行ってしまうのはなぜ? その秘密「VMD」を徹底解説』 の記事では、VMDの基本的な考え方となる『VP・PP・IP』の構成を活用する事で、何度も足を運びたくなるお店づくりの方法をご紹介しました。今回は、”売れる”お店づくりの秘密を紐解いていこうと思います。

では”売れる”お店をつくるためにはどうすればよいのでしょう?

実は、人間の行動心理や人間工学に基づいて売り場に仕掛けをしているのです。これを『ショップサイエンス』と呼んでいる方もいるようです。専門の本にもまとめて掲載されていることが少なく、売り場を作るプロは先輩に教わりながら自然と身に付ける方法なのですが、今日から実践できるヒントをご紹介していきます。


まずはお客様に商品を認知(発見)されなきゃはじまらない!

お客様は商品を買うときには自分で見て、触って、感じて確かめたいと思っています。従って、売り場では商品やサービスをお客様が認知(発見)できて、できるだけ接触させる工夫が必要になります。

お客様は商品を買う際に、

 1:認知(発見)
   ↓
 2:興味(何だろう?から欲しい!へ)
   ↓
 3:検討(金額・サイズ・価値)
   ↓
 4:購入(満足)
   ↓
 5:維持(再来店)
   ↓
 6:応援(友人へ勧める)

…といった段階を踏むと言われています。

このように購買行動の開始地点はまず認知(発見)してもらうことにあります。その為に、認知(発見)させる機会は多ければ多いほど良いということになるのです。

売り場でお客様に商品を認知(発見)させる為には、人間の行動心理や、行動する際のクセを理解して陳列を行うのですが、そのポイントをいくつかご紹介します。

【ポイント1】 売りたい商品は”フェイス”を増やして、際立たせる!

“フェイス”とは、売りたい商品の陳列面のこと。売りたい商品を他の商品とコーディネートさせて売り場内の複数箇所に陳列やディスプレイすることで、その商品を認知(発見)させる機会が増え、買い上げ率の上昇につながります。Webの世界ではレコメンドサービスに近い手法でしょうか?

例えばトップスであれば、ディスプレイのマネキンに着せる…その隣にハンギングやテーブル陳列をする…陳列フェイスも色違いで横に並べる…などなど。

ボトムの売り場にもコーディネートとしてハンギングに掛けてサンプル陳列したり、柱まきや壁面の上部など遠くから見える場所にもディスプレイしてください。カラーもテーマを決めてそろえるとより効果的です。

【ポイント2】 売りたい商品は”ゴールデンゾーン”に陳列!

人は手の届かない場所に陳列された商品を見るとストレスを感じます。その商品を見るためにはショップスタッフを呼ぶか、脚立を探して自分で取るしか方法がありませんが、最近は滞在するスタッフが少ないお店も多いですし、よほど必要な商品で無い限りお客様は自身で行動することはありません。

売り場での陳列で大切なことは、お客様にとって最も見やすく、触りやすく、選びやすい場所に陳列することです。この場所を“ゴールデンゾーン”と言います。

身長が160cmくらいの女性であれば、床から60cm~140cm程度の位置がゴールデンゾーンです。これは身長によって変りますから、来店するお客様のターゲット層に合わせて設定してしてください。

【ポイント3】 売りたい商品は”棚の中央から右側に陳列”

人は物を見る際無意識に、最初に真ん中を見ます。その後視線は右に流れ、商品が無ければじっくり探す為に左から右に探します。そして同様の視線の流れを繰り返しながら徐々に下に向かってゆくのです。

これは人間の視野の広さにも関係していて、一般的には棚の前に立った時に視認出来るエリアは左右90cm~110cm程と言われていますので、両側の商品は周辺視野に入っていますが認識は出来ないのではないでしょうか。

また日本人は右利きの方が多いので、正面に立った時には自身の右側の方が商品を取りやすいゾーンとなります。

ものを見るときの人間の視線は、左上から始まり、Z字を描いて最終的に右下に流れます

【ポイント4】 人は無意識に左に曲がります

コンビニやスーパーマーケットでは一般的に、お客様の動線計画が”左回り”になるように設計されています。なぜかと言うと、日本人は右利きの方が多いので、右手で商品を取りカゴやカートに入れるため、無意識に左回りに買い物をするのです。また、心臓のある左に行く方が、心理的に安心するからという理由もあります。これを行動心理学では“左回りの法則”と言います。

視線も個人差はあると思いますが、右側にある物の方が見やすいのではないでしょうか。最近は立地や建物入り口の関係で逆の場合もあるのですが、個人的に私はどうしても居心地の悪さを感じてしまいます。従って売り場では、お客様が左に曲がることを想定して、売りたい商品を配置するべきです。

広島大学の消費者行動調査によると、目の前の道が二手に分かれていて、目的地までの距離や条件が一緒だと仮定すると、90%の人が左側を選んだそうです。

出典:岡山理科大学 理大の栞

https://www.ous.ac.jp/kikaku50/bookmark/bm020e.html

私たちは子供の頃から左回りには慣れています。これも右が利き足のため左回りの方がバランスをとりやすく記録も伸びるため…と言われています。こちらに関してははっきりとした根拠は存在しないようですけどね…

【ポイント5】 右脳と左脳の働きを考えた店舗ファサードや商品ポップのレイアウト

右脳の役割は、アイデアや感性。左脳の役割は論理性や合理性をつかさどる。ものを見る際は、左側の物を右脳で見て、右側の物を左脳で見る。 …こんなことを学生時代に習いませんでしたか?

(私は授業中睡眠時間が長かったので自信はありませんが…)

店舗ファサードや商品ポップのデザインをする時は、左側に直感的に感じる写真や装飾を設置して、説明文などは右側に配置するように意識してみましょう。

お客様から見て左側にマネキン、右側に商品ポップなどを配置する事で、脳に情報が入りやすくなる

【ポイント6】 不安を感じさせず入りやすい空間は?

地方に行くと、一切店内の様子が見えないスナック等がありますが、そこに初見で入店できるチャレンジャーは少ないのではないでしょうか?

ファーストフードやスーパー等多くの方に入ってもらいたい店のファサードは、店内の様子が見えるように設計されています。全てを見せるというのでは無く、ある程度見せた方が多くの方は安心して店に入れます。

逆に、喫茶店のように、外からはある程度見えるが、中に入ると人の視線をさえぎれて落ち着く場所も必要とされています。外から店内を見た時に、お店の奥が少し明るいと入りやすく、暗いと不安を感じる…というのも人間の心理です。

地下や2階以上の店舗では入り口に、店内の様子を見せるモニターサイネージや写真を設置している店がありますが、理由はお客様に不安を感じさせない為です。

【ポイント7】 五感に訴えかける”シズル感”

カレーの匂いを嗅ぐとカレーが食べたくなる…お肉の焼けるジュージューという音を聞くと焼肉が食べたくなる…のは私だけではないはず。そういえばステーキ屋さんのメニュー写真では、湯気まで写っているものも多いですよね。匂いと音によって、五感が刺激されて、食べたい!という欲求が最高潮に高まるのです。

これは“シズル感”と言い、アメリカの経営アドバイザー:エルマー・ホイラー(Elmer Wheeler)が考えた造語です。マーケティングや販売のノウハウを記した著書『ホイラーの法則』で表し、世界中に広まりました。

”ホイラーの公式”

アメリカの経営アドバイザー、エルマー・ホイラー(Elmer Wheeler)が1937年の自著『ホイラーの法則』で表したマーケティング、販売のノウハウのこと。第一条から第五条まである。

第一条:ステーキを売るな、シズルを売れ
第二条:手紙を書くな、電報を打て
第三条:花を添えて言え
第四条:もしもと聞くな、どちらと聞け
第五条:吠え声に気をつけよ

「”ホイラーの公式”」 『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より。

ここで言うシズルとは「お客様の五感に訴える演出によって購買意欲を刺激すること」。商品そのものではなく、その商品によってもたらされる欲求を、臨場感を持たせていかにお客様にイメージさせるかが重要です。


大切な事は「人間の習性」と「感情に訴える」こと

急速なデジタル進化により、消費者の購買行動が大きく変化してきており、リアル店舗も新しい店づくりが必要となってきました。オンラインショップの売上げは年々上昇していますが、世界のプラットフォーマーがリアル出店を強化しているように、まだまだ物が売れるのはリアルが中心であるといわれています。

「行動心理学」や「人間工学」と聞くと難しく感じるかもしれません。しかし言い換えれば「人間の習性に基づいているか」「感情に訴えかけているか」…この2点を頭の片隅に置いておき、お店づくりの際に思い出してみて下さい。

例え良い商品であっても、お客様が認知(発見)してくれないと売れませんよね。もう一度原点に返って、お店に『ショップサイエンス』を仕掛けてみませんか?