VMD

お客様の気持ちになって行動心理や感情・感覚を考えてみよう!そこにVMDのヒントがあります

VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)とは、視覚的にマーチャンダイジングを行うこと、要するに「お客様が商品を見やすく買いやすい売り場作りをすること」という事は、このpearly daysの過去記事の中でも解説してまいりました。

こちらを踏まえた第3回。今回も引き続き「人間の行動心理や感情・感覚」といった視点で、VMDを活用したお店づくりのヒントを下記のテーマでご紹介していきます。

  1. VMDでまず大切なのは売り場がきれいで清潔感がある事
  2. 管理がしやすい売り場をつくる事もVMDの一環です
  3. 人間の行動心理に大きく影響する「色」の奥深さ
  4. VMDにおける基本構成やレイアウト

VMDでまず大切なのは売り場がきれいで清潔感がある事

売り場は見せ場(魅せ場)とも言われ、商品をお客様にプレゼンテーションする場ですから、シンプルでクリーンで整理整頓されていないといけません。

どうして?

簡単な事です。多くの人は自分が使うもの・身に付けるものを汚い場所で買いたくありませんよね。お店が汚いと、商品も汚く見えてしまいます。

最近ワザとゴチャゴチャに陳列されている所もありますが、それは意図があっての事。ここで言う汚いとは「床にゴミがたまり放題、通路にダンボールが散乱している、商品が床に落ちている」と言うような事を指します。

どんなに魅力的な商品だとしても、陳列の乱れた売り場では購買意欲がわきません…

VMDの観点で「お客様が見やすく・触りやすく・選びやすい」売り場作りが重要といわれますが、それは裏を返せば、お店のスタッフも「お店全体を管理しやすく・陳列くずれが修正しやすく・在庫が管理や補充がしやすい」売り場となり、棚卸しや陳列等がスピーディーに作業が出来ます。これも従業員がストレス無く働けるための行動心理につながっています。

管理がしやすい売り場をつくる事もVMDの一環です

陳列には、「スリーブアウト(ハンガー陳列)」と「フェイスアウト(ハンガー陳列)」、そして「フォールデッド(たたみ置き)」の大きく3種類があります。和服のころからこの基本パターンはあまり変っていないようです。

ハンガー陳列はお客様が触っても陳列が崩れにくいので、スタッフが少ない店では効果的です。但し、素材によっては商品が伸びたり型崩れします。

たたみ置きはお客様が触ると陳列が乱れやすいく管理が大変ですが、型崩れしにくく、棚を何段にもする事で商品量を置けるので、狭い店舗では有効な陳列手法です。

ここで伝えたいポイントは、どちらの陳列手法でも陳列量で安く見えたり高級に見えたりする不思議です。勿論店舗の環境と比例しますが、一般的に高級なブランドでは商品一点一点を良く見せる為に、陳列量を少なくしています。逆にバーゲン時はたくさんあるように見せる為、たくさんの商品を出します。

お客様に何を伝えたいか、どんなイメージを持たせたいかで商品の陳列量や手法は変っています。VMDの世界ではお店の面積・陳列量・アイテムやマーク数を考え、常に最良のバランスを考えることが重要です。

人間の行動心理に大きく影響する「色」の奥深さ

人間の心理や感情を左右させる要因として、カラーは切っても切り離せない関係があります。

生まれ育った環境によって色から感じるイメージは世界共通ではありません。日本の中でも北と南では違いがありますが、四季があるので、春・夏・秋・冬のカラーや暖色・寒色といった大きな区分では共通していると思います。

また、季節や気候によるイメージの他に「コカ・コーラと言えば赤」というように企業・ブランドや商品等、様々な分野でイメージが決まっている物もあります。

色の違いだけなのに四季の違いがわかりますね

VMDの仕掛けという分野では、使う色の量や組み合わせ等が人間にどう見えるかを意識して組み立てることが重要になります。

【陳列技術】

人の視線は左から右に、上から下に見てゆくのは前回お伝えしましたが、売り場で商品を並べるときにも「上から下へ」「手前から奥へ」「左から右へ」→「明るい色から暗い色へ」「淡い色から濃い色へ」の順番で並べます。

明るい色と暗い色は遠くから見たときに明るい色のほうが目立ちますよね。ですからお客様に見ていただく時に目立つ方の色を先に並べた方が気づきやすいという人間の修正を利用したものなのです。

【視覚効果・錯覚効果】

人は物事を正確に見るのではなく、印象で見て判断するといわれています。 例えば同じ距離でも前に見える「進出色」と後ろに下がって見える「後退色」があります。一般的に、赤やオレンジなどの暖色系が「進出色」、緑や青などの寒色系が「後退色」です。化粧をする際のハイライトカラーや輪郭を変えて見せるシャドウとしてもこの技術が使われています。

この2つは同じ形・同じ大きさですが、赤の方が青よりも手前に出て見えませんか?

同じ大きさのものでも明るい色・暖色・鮮やかな色は大きく見える「膨張色」、暗い色・寒色・くすんだ色は小さく見える「収縮色」と言われています。白い服は太って見え、黒は痩せて見えるのはこの原理からきています。

その他にも明るい色は軽く見えて暗い色は重く見える、白は柔らかく見えて黒は固く見えます。

このように、人間の特性を利用している物が世の中にはたくさんあります。 目立たせたり注意を促す時に使われるのが「反対色」です。火事の時、火の赤に対してよく見える緑が非常口のマークに使われているのはこれが理由です。

道路標識や危険を知らせる時に黒と黄色が使われています。これは黄色が自然の中にあってもとても視認性が高い色であり、黄色と黒という組み合わせは前後の差が大きく、黄色をより強く認識させることが出来る為と言われています。

VMDにおける基本構成やレイアウト

基本的な構成には「三角構成」「シンメトリー構成」「リピート構成」があります。どのタイプも人間が落ち着いて見えるとか、安心できる、リズム感を出すと言った人間の心理的な影響を考慮した構成です。

【三角構成】 最も基本的な構成です。安定感やバランス感が表現でき、細かい商品でもすっきりまとめて演出することができます。
【シンメトリー構成】 改まった感じで、清潔感ときちんとしたイメージを与えてくれます。三角構成と同様に安定感があります。
【リピート構成】 一つの陳列パターンを繰り返し見せることでそこに動きや流れが出てきます。品揃え特性を一目で認知させやすい構成です。

逆にこれらの構成を崩すと、不安を感じたり普通と違う感情を受けるので、注目させたい・印象つけたい・激しさを感じさせたい時には、敢えて崩して使う事が有効な場合もあります。


VMDの仕掛けに必要な要素とは

私は30年この業界に携わっていますが、売れる店作りの答えはまだ見つけられていません。もしかしたら、「見世棚」といわれていた遥か昔から、時代の変化で表現方法こそ変ったものの、原理は何一つ変っていないのかもしれませんね。

そこには人と人の関わりの中で、常にお客様(消費者)の気持ちを考えた売り場への仕掛け作りや工夫が大切であり、誰かを喜ばせる努力の積み重ねの中に答えがあるのではないでしょうか。