パールイデアのクリエイティブに欠かせないクリエイターを紹介するインタビュー企画「クリエイティブの美学」。今回は、パールイデアでアートディレクターとして活躍する ISHIHARA を紹介します。

ストーリー性を重視した提案を大切にする彼女の「クリエイティブの美学」とは?


実家の稼業の兼ね合いで、自宅には色んな図面が置いてあったんです。小さい頃はよく、それを真似して理想のお部屋のレイアウトなんかを描いて遊んでいました。そんな姿を見てか、10歳の誕生日に母から「ELLE DÉCOR」という雑誌をプレゼントされて…こんなにキラキラで素敵な仕事があるのか!と、ページをめくる度にワクワクが止まらなくて…一気にインテリアの世界に魅了され、将来は絶対に内装デザインの仕事をするんだ!とこの頃から決意していました。

当初は美大を目指していたのですが、高校時代に通っていた美術予備校OGの先輩達から「美大生の就職はかなり厳しい」という苦労話を色々と伺って…当時は「就職氷河期」といわれる時代だったので「とにかく内装デザインの仕事に就く」事が一番の目標だったのです。そのため方向転換し、より就職率の高い専門学校へ進学することに決めました。

専門学校では、住宅内装から店舗内装まで幅広く勉強しました。日々学ぶ中で、商業施設店舗内装におけるクリエイティブの自由度に魅力を感じ、より理解を深めるために商業施設でアパレル関係の接客アルバイトを行っていました。この経験から、デザイン性だけでなくオペレーションの観点も考慮した内装設計の重要性が学べたと実感しています。

パールイデアとの出会い、それは全てご縁の重なりです。

会社を知ったきっかけは、専門学校の就職指導担当者が元パールイデアの社員だった事。そして、その方の勧めもあり、パールイデアでインターンシップを経験し、社内の温かい雰囲気に魅了されました。

また、プレゼンテーションの授業では、外部講師の先生がパールイデアの社員だったんです。数いる先生・講師陣の中でダントツにわかりやすく楽しい授業でした。この先生と一緒に働きたい!と強く思った事が、この会社を志望した動機です。この方の厳しくも親身で強く優しい想いの指導を受けた事が、今の私の基盤となっていると思います。


Q1:現在、主にどのような仕事をしていますか?

展示会デザイン・店舗内装設計・ディスプレイ・グラフィックなどマルチに空間デザイン企画をしています。最近はコンセプトメイキングなど、デザインの核となる部分のディレクションや、お客様と共にブランドイメージを共創する案件が多いかもしれません。

因みにこのpearly daysのエディターや、各種パールイデアオフィシャルSNSの「中の人」もやっていたりします。

Q2:その仕事のやりがいは?

デザインをする上で、お客様とのコミュニケーションはもちろん、そのブランドのSNSやブログ、新聞や雑誌やWEBの記事、たくさんの情報を集めていくうちに、自然と私自身がブランドの大ファンになっちゃうんです。

そうすると、好き!の気持ちで頭がいっぱいになって、ドーパミンが頭を駆け巡る感覚になり、色々なアイディアが連鎖的に頭に浮かんでくるんですよね。その没入感がすごく楽しいですし、何よりそこで生まれたアイディアがお客様の心に響いた時は最高にやりがいを感じます。

デザイン設計を担当した「CRAFTHOLIC原宿店」。案件推進の中でブランドの大ファンになり、自分の「好き!」の想いを詰め込んだデザインとなりました。
Q3:逆に、つらい・大変だと思うことはありますか?

もちろん、そんなデザイナーズハイみたいな状態が常に続くわけもなく…アイディアが1mmも浮かばない事も多々あります。根が割とネガティブ気質なので、物凄くずどーんと凹んで自分を責め立てます。 そんな時は「まー、なんとかなるやろ。って楽に考えればええんやて」と以前上司に言われた言葉を思い出します。

一度考える事をやめて、好きな事をしたり、お酒を飲んだり、ゆっくり寝たり…そうすると不思議と次の日には色んなアイディアが沸き上がってくるんです。脳がリラックスしている状態をつくる事が、アイディアを生み出すコツなのだと学びました。「まー、なんとかなるやろ」は、私にとっての魔法の言葉です。

▲魔法の言葉を生み出したのはこの方。楽しむことが1番のクリエイティブの素なのだと教えて頂きました。
Q4:思い出深い仕事はありますか?

2011年に担当した成田空港内某アパレルショップの内装工事案件です。丁度成田空港へ向かう道中で東日本大震災が起こりました。有事の際でしたので、建材の仕入れも困難で、施工会社もなかなか見つからず、その時出来うる限りの最高の形を考える事に、チーム一丸となって毎日頭をフル回転させていました。竣工し無事オープンした際はとても感慨深かったです。

Q5:デザインをする上で大切にしていることは何ですか?

ストーリー性です。世の中の全ての形には、その形になった所以があり意味があると思っています。案件推進の際はまずはじめにストーリーを考え、そこからカタチを導き出しています。そのストーリーの軸がブレなければ、デザイン変更の際も引き算足し算のYes/Noが判断しやすくなるからです。

因みにネイルも推進中の案件に合わせたデザインにして、ストーリーに没入しています。名刺交換や打合せの際、指先はデザイナーがお客様から一番見られている部分ですしね・・・
Q6:好きな空間や印象に残っている空間を教えて下さい

近所にある枯山水の石庭が好きです。ただ真っ白な空間なのに、何故か宇宙の広がりを感じる不思議な感覚に陥ります。あと、バットマン(特にティム・バートン監督作品)の「ゴッサム・シティ」や、FINAL FANTASY Ⅶの「ミッドガル」が好きです。陰と陽、歴史と未来、混沌と秩序の対比、そしてそれらが共存する世界観に美しさを感じます。

Q7:あなたのインスピレーションの源は?

散歩が好きで、様々な公園へ行きます。流れる雲の形、風になびく木々から感じる四季の移ろい、生命の存在を感じる池の水面のゆらぎ、喧噪の街中では見かけることのない美しいシルエットの鳥たち。毎回新たな発見をさせてくれます。そんな万物流転の自然を肌で感じる瞬間が、私のインスピレーションの源になっていると思います。

Q8:ISHIHARAさんからみたパールイデアってどんな会社?

「こんなことやりたい」が出来る会社です。普段の他愛もない会話の中で自分の「好き」な話しをしただけで、営業担当が即座にアポイントメントを取り、チームを編成し一丸となって「好き」な仕事が出来る。例えるならばプロの文化祭集団だと思っています。全員が楽しいこと、わくわくすることが大好き。そんなメンバーと一緒だから仕事が楽しいって思える、そんな会社です。

Q9:この職種を目指す人へのメッセージ

私の考えるデザインの根底とは、無数に広がる情報を整理しまとめてカタチにするものだと思っています。そのためには、日々様々な情報をインプットする事が大切です。街を歩く中で、友人との会話の中で、漫画やゲームの中でも…日常で少しでも心が揺らぐものがあったら、それは全て情報として自分に蓄積されていきます。情報の抽斗(ひきだし)は多ければ多い方が、デザインする上で武器となっていくと思いますので、ぜひ身をもって色々な体験をたくさんして、どんどん情報をストックしてみてください。